12 北海道のカフェ

2011年9月16日 (金)

北海道のカフェで、深い雪の夢をみる

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新刊書のための取材で訪れた北海道のカフェは、大切に住まわれてきたらしい古い民家。その美しいたたずまいに、ただ見惚れるばかりでした。

流氷が漂着するこの土地の冬の寒さは、札幌の寒さとはまるで違うんですよ、と店主。窓の半分の高さまで、雪に埋もれることもあるのだそうです。お店の外壁には、もう薪ストーブのための薪がすこし積んでありました。

雪のはてしなく降りしきる夜ふけ、その人がもくもくと翌日の喫茶のための作業に没頭する姿が、「取材を受けることに慣れていなくて」ととまどいながら考え考えていねいに答えてくださる様子から、ありありと想像できたのです。

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2008年3月11日 (火)

真狩村のコンフィチュール・こぼれ話

本日AllAboutでご紹介した真狩村のコンフィチュール職人の鈴木方子さん。効率や経済的発展よりもクオリティを大切にしたいのでチームを作らず、なにもかもひとりでおこなうという心意気に、同じ心意気をほそぼそと掲げる「ほそぼその会」のひとりとして心から共感しました。

鈴木さんは、好きなこと、いやだからしたくないことの判断が本当にはっきりしていらっしゃいます。その言葉には、ものづくりの仕事をする人々ならみなおそらく出会うであろう選択のシーンで、そのつどしっかり迷ったり悩んだりして自分なりの結論を出したのだな、という背景が見てとれました。

作り手の迷いが商品に表れていてはいけませんから、お客さまの前にさしだすものは潔く。たとえば試作品として味見させていただいた、2種類の素材を合わせた「葡萄と小豆のコンフィチュール」。おいしいにもかかわらず、鈴木さんは商品化はしませんとおっしゃるのです。なぜ、と尋ねると、

「葡萄だけのほうがおいしいから」。

単品のままでおいしい素材を、わざわざ別の素材と組み合わせて新しい味を作るからには、ふつうにおいしいだけでは不充分。単品の味を超えるおいしさでなくてはいけない、という基準が彼女の中にあるのでした。

もしかしたら、葡萄の透明感のある風味と、小豆の穀物っぽいざらざら感のある風味との組み合わせが、双方の魅力をひきたてる結果にはならないと判断されたのでしょうか。ちょっともったいない。

でも、ものを書く人々の足もとにも、数えきれない書き直しや削除や、1ページを書くために読んだ何冊もの資料や、日の目を見ることのないプランがどっさり埋もれていますよね。光の当たる部分はごくわずかです。

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2008年3月 4日 (火)

BOULANGERIE JIN(ブーランジェリー・ジン)…真狩村(北海道)

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羽田空港から札幌・新千歳空港に到着すると、空気は快い水気をふくんだ冷たさ。迎えに来ていただいた地元の方の車に乗りこみ、一路、真狩村へ。時おり粉雪が舞うなか、コンフィチュールと石釜パンを目当てに、無彩色の空と無彩色の大地の間をひた走ります。

「このために東京からはるばる来るなんて、ある意味、頭がおかしい人たちだよね(笑)」と、発案者Tさんがみずからあきれていらっしゃいましたが、私は賢く生きることにはいまひとつ興味が持てないので、きっとこれからもささやかに酔狂な旅をすることでしょう。Tさんはさらに大胆な旅をすることでしょう。

Tさんが以前ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパに滞在した折に、ホテルで教えてもらったというブーランジェリーJIN。Tさんは「薪で焼いたクロワッサンなら、JINが日本で一番おいしい!」と断言します。

そのJINの場所ですが、村の有名レストラン「マッカリーナ」からそれほど遠くはない、という以外に正確な住所がわかりません。真狩村の「道の駅」で訊ねると、村の人が「それは真狩村でいちばんわかりにくい店です」と教えてくれました。予想通り、センスの良い看板を見落として一度通り過ぎてしまい、車をUターンさせて雪の中に看板をみつけました。

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看板のたたずまいが、小さな名店であることを告げています。その先に見えているのは、情趣ある木造の建物と、壁に薪を積み上げた小屋。もうすでにおいしい、と言い合いながらお店の扉を開け、あたたかなパンの香りに包まれました。

以前マッカリーナや、パンのおいしさで知られるウィンザーホテル洞爺の「オテル・ド・カイザー」で働いていらしたというご主人が薪釜で焼くパンの数々。棚には大きな丸い田舎パンをはじめとするハードタイプのパンが4~5種類、クロワッサンが3種類、カランツ入りのかぼちゃのパンなど3~4種類並んでいました。

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Tさんはまずクロワッサンを1個(120円)購入するなり、雪の中に飛びだしていって完食。「世界一うまい!」と言いながら戻ってきました。その場ですぐに食べる臨場感は、おいしいものをいっそうおいしくします。しっかりと手応えのあるクロワッサン。つやのある両端はかりかりで、かじると薄い皮が香ばしくほろんとはがれ、しっとりした中身を噛みしめるたびに塩気と甘みが微妙に絡みあいます。

私はクロワッサンを3つ、アーモンドクロワッサン(180円)を1つ確保してからお店のかたにおすすめを尋ね、「やはりこれですね」という田舎パン(1個1000円、ハーフサイズ500円)を味見させていただきました。ハードタイプ愛好家の私のような人間には、表面のこんがり香るガリガリと、中身のほのかに酸味のあるもちもちがたまりません。

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クロワッサン、田舎パンのほかに購入したのは、「ドライフルーツのパン」(ハーフ400円)、赤ワインと合わせたい「クルミといちじくのパン」(ハーフ400円)。いずれも重たくなりすぎず、食べやすい風味。 月ごとに季節のお菓子も作られていて、12月はシュトーレン、1月はガレット・デ・ロワ、2月はチョコレート・パウンドケーキが登場していました。

パンへの誠実な姿勢と、真狩村で働き、真狩村を楽しい場所にしようという意志が伝わってくるブーランジェリーJIN。真狩村で収穫された小麦粉は、この一帯の小麦粉とひとまとめに集められて販売されるそうですが、JINのご主人たちは真狩村産の小麦粉にこだわって使いたいと働きかけ、昨年、スペシャルな小麦粉が誕生したそうです。

BOULANGERIE JIN(ブーランジェリー・ジン)
北海道虻田郡真狩村桜川45-8
【TEL】 0136-45-2773
【OPEN】 9:00~18:00
【定休日】 火・水

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2007年8月 1日 (水)

森の時計…富良野(北海道)

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富良野のコーヒー

「森の時計は ゆっくり 時を刻む―― 」

そんな言葉を書いた額が飾られていた喫茶店が、倉本聰脚本のドラマ『優しい時間』のなかに登場していましたが、ドラマの中の喫茶店『森の時計』が、ドラマ放映の終了後にほんとうの喫茶店としてオープンしています。

場所は新富良野プリンスホテルの広大な敷地の森のなか。私たちは家族4人の北海道旅行のなかで2日半を美瑛~富良野ですごし、この新富良野プリンスホテルに宿泊したので、森の時計と、もう1軒、同じ森の中にある倉本聰がプロデュースしたバー「Soh's Bar」の2軒を訪ねてみました。

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森の時計でいただいたのは、ブレンドコーヒー(520円)とチョコレートケーキ(「初雪」「根雪」「雪どけ」の3種類、各650円)。カウンター席に座ると、ドラマにあった通りにコーヒーミルを渡されて、自分でがりがりとコーヒー豆を挽くことができます。観光シーズンですから、森の時計はたいそう人気。朝早めの時間か夕食以降の時間帯をおすすめします。

夫と二人で入ってみたSoh's Barは、夕方からオープンする森の中のバー。こちらは静寂が支配的で、設計者の意図通りであろう落ちついた時間が流れていました。造りは森の時計とよく似ています。カウンターに座ってシングルモルトを飲んでいると、カウンター奥の大きなガラス窓ごしに光に照らされた樹々が見え、頭のなかで物語の断片が動き始めました。

森の時計(もりのとけい)
北海道富良野市中御料(新富良野プリンスホテルから徒歩3分)
【OPEN】 朝10:00~21:00
【WEB】 新富良野プリンスホテルのホームページより

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