骨董カフェにて
骨董カフェで取材を終え、ここから先は取材抜きです、と宣言してひとりでコーヒータイム。気をしずめておいしいコーヒーを飲んでおりましたら、取材中には目に入らなかった、ガラス棚のいちばん下に置かれていたうつわに呼ばれました。表面の緑の釉薬の濃淡。それが剥がれて、ところどころに赤い土が顔をのぞかせ、形容しがたい色調になっています。
中国の、漢の時代のものです、と店主は言います。鍋のかたちに作られた副葬品であったと。たしかに短い柄がついています。店主は今まで買い付けに行って鍋を見かけても全く食指が動かなかったのが、初めて買う気になったのがこれなのだそうです。
じっくり触らせていただいたら、なんだか奇妙な親しみを感じてしまったのです。遠い昔、知らない貴人とともにお墓に埋葬されたお鍋に。
おそるおそる値段を尋ねてみると、オアフ島に1回旅行ができるくらい。黙ってひたすら見とれていたら、店主が私の後ろあたまに向かって言い放ちました。
「たとえば、野葡萄」
このカフェに置かれている骨董は、花器としても用いられることを前提にしているのです。もともと店主が花をいけるうつわとしての骨董を集めてきたから。
目の前の古鍋のすみに、野葡萄がこぼれている光景を想像してみました。青や紫や薄緑、濃緑の小さな実の色彩。なんと美しい。それから店主は、このうつわにふさわしい草花を次々に挙げていきました。秋冬の気配をもつ草花が良いだろうと。ああ、もうだめです。自分の想像力に負けたのか、うつわの力に負けたのか、店主の作戦に負けたのか。
「クレジットカードは、使えますか」
店主はにやりとして言いました。
「使えないけど、向かい側のコンビニエンスストアにATMがありますよ」
「…ではちょっと、行ってまいります」
丁寧に包んで箱に入れてもらった古鍋を下げて帰る道すがら、大事なものをお嫁にもらってきたような気持ちになりました。お鍋というのがどことなく自分らしいと思いました。くの字型の短い柄のおかげで、巨大なコーヒーカップのようにも見えます。水を入れると表面が剥がれてくるだろう、というので花器として使うのではなく、ただ眺めて触れて愛でようと思います。
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那覇、パラダイス通りの細道をゆらゆらと歩いていたとき、ショップのウィンドーで目にとまった、いい感じの伝統工芸サンダル。
右の写真は、手帳とおそろいの赤があったのであわせて購入した
もうずいぶん長いことグッチのENVYを愛用しているのですが、気分転換に新しい香りを購入しました。フランスの香水ブティック、Les Parfum de Rosine Paris(パルファン・ロジーヌ・パリ)が展開する薔薇の香水シリーズ。