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2013年12月 4日 (水)

海のそばのカフェから、街の新しいコーヒー店へのバトン

海のそばの小さな礼拝堂を思わせる一軒家で、ご主人が珈琲を焙煎し、奥さまがパンを焼いているカフェについて、何年か前に本に書いたことがあります。珈琲もパンも空間も、ご主人が理想の到達地点として考えていらっしゃるヴィジョンもすばらしいお店でした。

その後のメールで、いまは突然介護が必要になった家族を抱え、子育てをしながら日々の仕事を全力でこなしていくことで精一杯です、というお言葉を読みました。めざすべき未来について考えをめぐらせる余裕すらないと。

次々に降りかかる日常の難題。おそらく、華やかなできごとも晴れやかな気持ちも、いまのその人には遠く感じられるでしょう。

昨日、そのカフェの珈琲豆を使ってオープンした真新しいコーヒー店を訪れたら、カウンターの上に大切に置かれた珈琲豆のガラス瓶が、笑顔の輝く若いオーナーバリスタの仕事を静かに見守っていました。

若いオーナーバリスタは何年も前に、海のそばにあるそのカフェに憧れを抱いて自宅での一杯のために珈琲豆を取り寄せるようになり、いつか自分がお店を開いたら必ず使いたいと考えていたのだそうです。そして本当に、その豆にふさわしい小さな美しいコーヒー店を開いたのでした。

私が最初に注文したエスプレッソは、風味もコクも充実した、とてもおいしい一杯でした。

たとえ青年時代に抱いていたような仕事や人生へのロマンティシズムは消えても、自分の仕事をひたすら黙々と、誠実におこなっていくことで、それに触れた人に良い刺激や希望をもたらしたり、心の支えになったりできるのだと教えていただいたように思います。

「ささやかであっても誰かのために何か貢献できるように、目の前の仕事を一つ一つ成し遂げていこうと決意してます」と、今日、海のそばのカフェから届いたメールには書かれていました。

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