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2013年11月27日 (水)

Philippe Weisbecker (フィリップ・ワイズベッカー)とカフェの記録

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「コーヒー&読書の時間におすすめの一冊」を雑誌のインタビューで求められて、フランス人アーティスト、フィリップ・ワイズベッカーのドローイング集を挙げたことがあります。

その理由は、古ぼけた建物群を描く彼の胸に渦巻いていた想いが、「東京カフェマニア」をスタートした時の自分の衝動と共通するものがあるのではと感じたから。

ワイズベッカーは都市計画によって取り壊されてしまう、おそらくあまりにも日常的でありふれた姿ゆえに、誰もたいして気にとめていないであろう古い工場の数々を記録するために、デッドストックのノートのページに鉛筆でその姿を描いていったのでした。

「バルセロナ郊外にあるポブレ・ヌ(新しい村)と呼ばれる界隈には、たくさんの古く小さな工場があります。
それらの工場が消えてしまう前に、急いで記録しておかなくてはと思いました」
(フィリップ・ワイズベッカー)

おもしろいのはそのパース。やや奇妙な遠近法。おかげで古い工場たちは、実物をある程度正確に写しとられているようでありながら、ワイズベッカーの静かな白日夢の中にだけぽつねんと取り残されている建築物のような趣きがあります。

下北沢のブックカフェ B&B で購入したこの小さな薄いドローイング集のほかにも、ワイズベッカーはノート一冊にひとつのテーマで、たとえば温室、古い日用品などを描いています。

世界からどんどん姿を消していくものたち。消滅をとめることはできないにしても、記憶しておくことはできます。たぶん、記憶も少しずつ変貌し、意味を変えていきはするのですが。

先週末から目黒のクラスカ Gallery & Shop "DO"でワイズベッカーの新作展が始まりました。来週、東京に戻ってからの楽しみがひとつ増えました。風の強い伊豆大島にて。

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