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2013年8月26日 (月)

『東京の喫茶店』4刷御礼、私とわたし

東京の喫茶店~琥珀色のしずく77滴』が増刷になり、4刷目が出るそうです。ありがとうございました。

先日、本書でご紹介させていただいた端正な珈琲店で、いつものようにぼやっと本を読みながら珈琲を飲んだ夕方のこと。お会計のとき、若いスタッフに柔らかい口調で「失礼ですが、川口さんでは?」と声をかけられました。

この珈琲店の存在を知ったのも、珈琲好きになったのも、川口さんの本を読んだからですと言っていただいて、一挙に冷や汗が出るほど赤面しつつも、何より嬉しい言葉だと思いました。

繰り返し書いてきたことですが、個人経営のカフェは、作る人そのもの。「カフェは自己表現の一種」と語るオーナーもいれば、それを良しとしないオーナーもいますが、どちらにせよ空間にも味にも、濃淡の差はあれ、その人の片鱗が含まれているように思います。

本作りに引き寄せれば、文章を自己表現ととらえる人もいれば、そうでない人もいて、私は後者。若いころは自分を「わたし」と書いていたのを一文字の「私」に変更したのも、「わたし」にまつわるもろもろをなるべく省略したい、三文字から一文字になることで自我も三分の一に縮小できたら、という意図によるものでした。

ただ、できるだけ透明でいたいと努力しても、文章を背後から支えている世界観やものの見方、考え方には、否応なしに書き手の色が出てしまうもの。完全に透明な書き手などこの世には存在しないので、読んで下さる方々には世界観も含めてまるごとお楽しみいただけたらと願っています。

本と珈琲の楽しみが味わえる静かな喫茶店や、おいしい一皿や会話による小さな刺激を与えてくれるカフェを大切にしてくれる人が増えること。良いお店が長く愛されること、そうして、街角の日常がより自由で、気持ちのいいものになること。

真綿で首を絞められているような息苦しさが街に濃く漂っているいま、ますますそう願います。

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