« 二番めに欲しいもの | トップページ | ねじまき雲+tocoro cafe 「珈琲を楽しもう!」 »

2011年2月12日 (土)

『やさいのかみさま』カノウユミコ

「料理は生きていくうえで必要なあらゆることにつながっている。」
                      (カノウユミコ『やさいのかみさま』)

Yasai

インスピレーションに満ちた野菜料理のレシピブックで知られるカノウユミコさんの新刊『やさいのかみさま』(小学館)が発売になりました。

カノウユミコさんの料理が私たちを魅了するのは、既成概念にとらわれない独創的な調理法から生まれる豊かなおいしさもさることながら、そのひらめきの土壌となる彼女の世界観、宇宙観がすばらしいから。

彼女のこれまでのレシピブックでも、スケールの大きい世界観が背後に見え隠れしていましたが、『やさいのかみさま』は初めてそれをテーマにすえ、カノウさん自身の言葉でいきいきと綴っています。

「自立した死のために」と題された章には、ことに深い共感をおぼえました。死を語るのはタブーのような風潮があるけれど、夢を語るのと同じように、死についても話したり、イメージを明確に持ったりするのがよい、と。

「…ある人の祖父は九十代で亡くなったのだが、どこも悪いところがなく、死の前の日には、死ぬことがわかっていて、夕飯には、好物の塩小豆のおはぎをふたつ食べ、家族に別れを告げて床につき、朝亡くなっていたという。」

理想的な死。このほかにも、ああ、そのとおりだな、と膝を打つ文章が随所にあり、桜色の色鉛筆で傍線を引きながら読んだら桜色だらけになってしまいました。たとえばいま、ぱらぱらとページを繰って目についたのはこんな一節。

「大根は心を癒すエネルギーを持つ、野菜の天使だ。スープはうまみが強すぎると感情が高ぶりやすいので、心を休める時は、野菜だけの滋味深いシンプルな味のスープがよい。」

そのあとに「心があたたまる大根スープ」の作り方が掲載されています。分量などの詳細はなく、もくじのページのすみに、自分の感性で自由に楽しんで作ってもいいし、どんな味になるのか想像の世界だけで遊ぶのもよいと思います、と小さな説明が添えられていました。

紹介されているレシピのなかには、「死ぬ前に飲む水」や「奇跡を起こすうれし涙のスープ」といった驚きのメニューも!

うちでは昨年12月からナチュラルハーモニーの自然栽培野菜やお米の宅配をとっていますが、これがみごとに毎回、根菜だらけ。大根、かぶ、さといも、じゃがいも、玉ネギ…季節の旬を味わうとは、まさにこういうこと。

で、これから、ちょっとわくわくしながら、カノウユミコさん式の大根スープをつくりはじめるところなのです。いったいどんな味へと導かれていくのか。我を忘れて料理にのめりこむ行為は、「百パーセントいまを生きる」ことなのだと彼女が教えてくれました。

|

« 二番めに欲しいもの | トップページ | ねじまき雲+tocoro cafe 「珈琲を楽しもう!」 »

97 本日の1冊」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/219376/50852024

この記事へのトラックバック一覧です: 『やさいのかみさま』カノウユミコ:

« 二番めに欲しいもの | トップページ | ねじまき雲+tocoro cafe 「珈琲を楽しもう!」 »