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2010年7月10日 (土)

デロス島、太陽神と月の女神が生まれた聖地

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世界遺産であるデロス島は、ミコノス島から船でアクセスする以外には訪れる手段のない無人島。東西500m、南北1500mという細長い小さな島で、つねに乾いた風が吹きつけています。

デロスという名が「輝く」を意味するのは、ゼウスの子をみごもったレトが、この島で双子=太陽神アポロンと、月と狩猟の女神アルテミスを産み落としたから。「アポロンの聖域」と呼ばれる一帯にはアポロンが産湯をつかったという湖も存在しますが、すっかりひからびていて、それはもはや湖ではありませんでした。島全体が陽射しと風にさらされた、輝く廃墟なのです。

たしか沢木耕太郎の『深夜特急』では、旅が終わるきっかけとなったのはギリシャでしたっけ。トルコから国境を越えてギリシャに入ると、死に絶えた古代ギリシャ文明の国に来たことが感じられて、旅を続ける意味がわからなくなってきたと……読んだのがあまりにも昔のことで、記憶が曖昧ですが。

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古代ギリシャ世界における各文明の政治や宗教、文化の中心地として、何世代にもわたって繁栄してきたデロス島。世界史の授業で習ったあのデロス同盟の舞台であり、約3000年前には壮麗な神殿や劇場、富裕な市民の住居が建ち並んでいたとか。

しかし、たび重なる政治的混乱や海賊の襲来によって島はしだいに衰退し、紀元後1世紀にはほぼ廃墟となります。そして19世紀に発掘調査が始まるまで、完璧に滅びた島でありつづけたのです。

誰もいない島で、音をたてて崩落する天井と巨大な円柱。月光に照らされた円柱がゆっくりと倒れる瞬間を想像すると甘い胸騒ぎがします。少しずつ風に削られて顔を失っていく神々の石像。無数の壺の破片。

現在、そこは乾燥した大地を好む花々が咲き、大小のトカゲが突然石畳に走りでてきては、数秒のあいだ背中を鈍く光らせて、再びすばやく物陰に隠れる場所。彼らの楽園。島の本当の所有者は地球であり、人間ではなかったのですね。

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旅には必ず連れていくハーキマー・ダイヤモンドの表面には、この三角形と同じような三角形が浮き上がっているので、しばらく日光浴させてあげました。

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古代ギリシャ人はとにかく男性の肉体美が大好き。残された美術品を見る限りでは、どうも女性に対してはさして情熱を抱いていなかったように思えます。女性を創作の対象とするときは、作者は肉体よりも衣服のひだの表現に喜びを見いだしていたんじゃないでしょうか。

デロス島内の博物館の一室で、ふっと人影がとだえた瞬間に、ひとりの青年が一眼レフカメラのレンズを彫像の股間に大胆に近づけて、さまざまな角度からの撮影を試しはじめました! たぶん誰もいないと勘違いしたのでしょう。

同じ部屋で静かに別の彫像を眺めていた私は、股間のアップに熱中する青年の姿をカメラにおさめたい誘惑にかられましたが、さすがにそんな失礼なことはできず。

驚くばかりに細密なモザイク画や装身具など、彼が興味を抱いてレンズを向ける展示物が私とよく似ていたので(上記以外は)、ひそかに親近感をおぼえて、彼が博物館から出て隣のカフェに歩いていく後ろ姿を撮影させていただきました。

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デロス島唯一のカフェでは、絞りたてのオレンジジュースが大人気。門柱の上のかごには輝くオレンジが山盛り。そして店内にもオレンジの箱がどっさり積み上げられていました。地元ギリシャで、陽光を浴びてたわわにみのる果実。

その新鮮なオレンジジュースのおいしさが、太陽と風で乾いた細胞にエネルギーを吹き込んでくれて、ミコノス島に戻ってからもオレンジジュースばかり飲んでいました。そして笑っちゃうことにこの日の夕方、ミコノス島の迷路のような街の中でもばったりと、あの彼に遭遇したのです。

【デロス島観光情報】

ミコノスの港で、ミコノス~デロス往復の船代と入島料がセットになって販売されていて15ユーロ。高速艇なら30分、船内にバーカウンターのあるフェリーでも1時間で到着。
シーズン中は1日に3往復するようです。行きは8時台、9時台、10時台。帰りは最終がデロス島15時発。

私は10時発のフェリーでのんびり行きましたが、正解だったと思っています。フェリーにはデッキがあるので、日陰側のデッキに座って海を眺めていると潮風が涼しくて極楽。(出発前に反対側のデッキに座っていたら、船員のおじさんが「ここは日なたになるから、あっち側に座ったほうがいいよ」と親切にアドバイスしてくれました)

集団でぞろぞろ歩いて回るのが苦にならないなら、ミコノス島から英語のガイド付きのデロス島ツアーも出ています。私は団体行動が苦手なので、ひとりで堪能しました。

アテネ空港内の小さな書店で購入したミコノス島~デロス島のトラベルガイド(英語版)がわりと活躍してくれました。遺跡の詳細や歴史が知りたかったので。そういうものに興味がなければ、ガイドブックは不要と思われます。デロス島の遺跡マップは島に入るときに入口でもらえるし、地図なんてあっても役に立たないほど小さな島ですから。

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