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2008年6月 4日 (水)

不運1:幸運9

お仕事がらみの人と顔合わせをしたあと、駅ビルの中で買いものをして外に出たら小雨。目の前のタクシー乗り場の誘惑に負けて、自宅までタクシーで帰ることにしました。マンションの前に到着し、さて料金を……と思ったら、お財布がない! そして、お菓子を入れた紙袋が濡れて、大きな穴があいていることを発見したのです。

タクシーに駅まで引き返してもらう道すがら、「紙袋にお財布を入れてたんですか~?! ちゃんとそのバッグにしまわなきゃ!」と年配の運転手さんにたしなめられました。
「人通りの多い駅ビルに落としたとなると、もう誰かに持って行かれちゃったかもしれないですね。えっ、免許証もクレジットカードも入っているんですか…」と運転手さんは悲しげで、後部座席で私が「お願いですから、いい人が拾ってくれますように!」と両手を組み合わせて叫ぶ姿に苦笑していました。

タクシーには駅前で待っていてもらって、大急ぎで交番を訪ねました。しかし、お財布は届いていないとのこと。遺失物の届け出を書くのはどうしてあんなにめんどくさいのでしょう。おまわりさんがつきっきりで一項目ずつ説明してくれました。

その足で駅ビルに確認しにいくと、なんと、警備室に届いていたのです。細かく中身をあらためさせられましたが、なくなっているものは何ひとつありません。受け取り確認の作業もやたらにめんどうでしたが、今度は喜びでいっぱいですから気になりません。

交番にお財布発見の報告に行き、4人のおまわりさんに「よかったですねー!」といっせいに祝福され、タクシーの運転手さんには「奇跡ですね! いやあ、あるんですね、こんなことが!」と我がことのように大喜びされました。彼は彼で、ただ乗りの不安におびえていたのでしょう。

不運だったのか幸運だったのかよくわかりませんが、いろいろな人の祝福の言葉のおかげで、不運の数倍の幸運に恵まれたような錯覚に。再び家に向かうタクシーの後部座席で「どこかの親切な人、ありがとうございます!」と熱く感謝の言葉を捧げたら、運転手さんにも熱く同意されました。

その彼にも3回分の乗車料金と待ち時間分の料金をお支払いして、幸運のおすそわけをしました。降りる前に、お財布は無造作に紙袋に放り込まずに、必ずバッグにしまうことを固く誓わせられましたが。

不思議だったのは、必ずみつかるはずだという妙な確信がずっと私の中にあったことです。

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99 喫茶と散歩の日々」カテゴリの記事

コメント

ドキドキ、ドキドキしながら拝読し、思わず「やったー!!!」
悲しいニュースや事件が多いなか、こんな嬉しい驚きもいっぱいありそうです♪
ありがとうございます。

投稿: KAYO | 2008年6月 4日 (水) 08時01分

お財布、見つかってよかったですね。
私もお財布を失くしたことが過去に3回あります。
高島平のスーパーと劇団四季劇場のトイレと博多のソラリアシネマでなのですが、ラッキーなことに何もなくならずにちゃんと出てきました。
仏の顔も3度まで(?)と思い、それ以後は身を引き締めて失くしていませんが、
買い物をして、買った袋にお財布をポンと入れてしまうことはよくやっているので
これからは気をつけます。
いやぁ~、でもホントに見つかってよかったですね。

投稿: じりあ | 2008年6月 4日 (水) 08時56分

KAYOさん、いっしょに喜んでくださってありがとうございます。拾って届けてくださった方には本当に感謝しています。この世界はなんて美しいんだろうという感動まで与えてくれたのですもの。
こんなささやかなグッドニュースは、本当はあちこちに存在しているのだろうと思います。ばかばしいので報道されないだけで(笑)

じりあさんも親切な方々に何度も救われてきたのですね。世界は、じつは良い人々でいっぱいですね! しかし、おたがいに二度とこんな落とし物をしませんように。 

投稿: 川口葉子 | 2008年6月 4日 (水) 18時29分

はじめまして。MIKAOと申します。カフェリサーチ中にたどり着きました。
で、思わず自分も過去に似たような経験があったので読みいってしまいました。
親切な方はまだまだこのトウキョウにもいっぱいいるんですよね。
よかったですね、ほんとに。

私は昔、出張用の航空券を六本木の雑居ビルの公衆電話台に置き忘れてしまい。。
寝る前になって気がつきました。
ダメモトで麻布署へ電話をしたところで、「場所が場所ですからね、届く可能性は薄いです~」と話す警察官の声も弱弱しく。。
ところが、翌朝、「航空券が届きました。署に来られますか?」と連絡が!
麻布署へ受け取りに行くと、届けてくれた方のお名前と住所、年齢を教えていただきました(本人が個人情報伝達を了解されていたので)。
中野にお住まいの20歳の男子学生さんでした。
「たっくさんのラッキーが、この方に舞い降りますように」と願いをこめて、
すぐにお礼と手紙を送りました。あの時のことを今でも時々思い出します。
あの時の親切な学生さんは今頃どんな人生送られているかなぁってhappy01
それ以来、たとえハンカチ1枚でも、置忘れを見ると必ず近くの遺失物の窓口へ届けるようにしていますgood

投稿: MIKAO | 2008年6月 7日 (土) 15時47分

MIKAOさん、ほっとするエピソードをありがとうございます。今度はMIKAOさんに拾っていただいてラッキー!と叫んでいる方々がたくさんいらっしゃるのでしょうね。
幸運の連鎖、素敵なことです。

それにしても、公衆電話の台は数限りなく忘れ物がありそうな魔のブラックホールのひとつですね。私は昔、電話するときによく傘の柄をそこに掛けて、電話が終わるとそのまま離れてしまっていましたっけ…。

投稿: 川口葉子 | 2008年6月 8日 (日) 23時39分

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