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2007年12月11日 (火)

渋谷サウンドスケープ

Shibuya_2 渋谷文化プロジェクトに連載している「渋谷カフェ考現学」の原稿を書くため、小さなICレコーダーを持って、街の音を録音しながら休日の夜の渋谷を散歩してみました。

編集部からは「2007年の渋谷カフェ」をテーマとしてご提案いただいたのだけれど、かねてより渋谷のサウンドスケープに興味を抱いていた……というよりハチ公前交差点の音のカオスぶりに辟易していたので、「耳がとらえた渋谷の街」をテーマにしていいでしょうか?と打診してOKをいただいたのです。

録音テーマのひとつは、どれだけクリスマスソングが街中に流れているか。
ところが意外にもこの夜の渋谷は、目でとらえれば美しいクリスマスツリーとイルミネーション満載だったのですが、耳でとらえると、ほぼクリスマスの片鱗すら聞こえてこなかったのです。

街中をジャックしていたのは桑田佳祐の『ダーリン』。大型レコードショップ各店の店頭でいっせいに新曲発売記念キャンペーンがおこなわれており、ヒットと宣伝費の関係について考えずにはいられませんでした。

徹底して音に無神経にならないと、ハチ公前の交差点に長く立っていることはできないように思えます。それとも途中から聴覚が麻痺して気にならなくなるのかしら。私はあの音の洪水が苦痛でたまらないのですが、皆さまはいかがですか。

写真の二人組は、桑田佳祐の歌を尻目にマイペースなライブ演奏中。三味線の音もジャンベの音も、Qフロント壁面の巨大スクリーンが放つ大音量にかき消されてしまいますが、彼らにとってはさしたる問題ではないようです。

あの巨大スクリーンは、交差点前に合計4つもあるんですよね! スクリーンによっては、交通量の多い時間帯になると騒音に負けないよう自動的に音量を上げる設定になっているそうで、私たちの鼓膜はますますカオティックな音の氾濫によって無理やり振動させられるのです。

渋谷センター街の環境向上に成功したことで全国の注目を集める組合事務局に問い合わせてみたところ、センター街では呼び込みBGMのうるさすぎる店舗に対しては厳重注意をおこなっているそうですが、ハチ公前交差点の巨大スクリーンは残念ながら管轄外で「あちらは区が指導していて、音量の上限が決められているはずなんですけれどね」とのこと。

しかし、ひとつひとつのスクリーンが規制以下の音量にしたところで、同時に4つのスクリーンが限界まで自己主張しているのですから、鼓膜がメルトダウンしてしまいそうです。

I have a dream.
私には夢がある。
いつの日にか、渋谷の交差点で、
すべての壁面マルチビジョンが口を閉ざし沈黙するという夢が。
自由の鐘を、無音で鳴らそうではないか。
そのとき、聞きたくない音楽を強制的に、大音量で聞かされるという
苦痛から解放された私たちは、手に手を取って喜びあうだろう。
「自由だ、感謝します。ついに我々の耳は自由になったのだ」と。

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コメント

渋谷のハチ公前の音と、パチンコ屋の店内はほぼ同じぐらいの音の洪水といった感じがしますね。私も苦手です。

東京は、電車に15分乗っているだけでも、様々なアナウンスという名の音から逃れられません(笑)。海外で、発車ベルもアナウンスもなくすーっと発車する列車、必要最低限の車内アナウンスに、ほっとするやらドギマギするやら。
情報過保護となりつつある耳に「音のない刺激」を与える時間となっています。

投稿: erizo | 2007年12月13日 (木) 00時54分

欧米の電車の「音のない刺激」、本当にその通りですね。
イギリスなんかだと、乗りたい列車が何番線のホームから発車するかも、かなり直前になるまで決まらなかったりしますから、発車時刻・行き先・ホーム番号がぱたぱたとひっくりかえる掲示板を緊張して見上げていなければなりません。
東京駅がそんなことになったら大パニックですよね(笑)

投稿: 川口葉子 | 2007年12月13日 (木) 10時34分

最近では、もはや何も期待しなくなったからか、
気にならなくなりました・・・(それはそれで悲しいかも)

そう何も期待しない。

押し付けられた「バラエティ」番組の笑いにも、
我が身は振り返らないみのもんたにも、
料理しか信用できない某女性占い師にも。

投稿: くま | 2007年12月28日 (金) 19時31分

音に対して敏感でいらっしゃるであろうくまさんが「気にならなくなった」というのは、きっと大きな葛藤の果てにたどりついた境地ですね。
期待しない=他の人に多くを求めない、ということで、まことにタオ的な対処法ではないでしょうか?
私もますますタオイストな1年をすごそうと思っています。

投稿: 川口葉子 | 2008年1月11日 (金) 01時10分

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