JTENTEN(銀座)で共感覚の話、ソナタ形式のコーヒー
この春、銀座6丁目にオープンした珈琲店『時・・』(じてんてん)に取材におじゃました折に、マスターやスタッフの方々と「共感覚」についての話をして、人それぞれの感覚の違いを楽しみました。
共感覚とは、たとえば音を聞くと色が見えたり、香りをかぐとかたちが見えたりして、ひとつの刺激に2つの感覚が伴うこと。大なり小なり、共感覚を持つ人は決して少なくないようです。
私の場合は音、文字、香り、味など、かなりの感覚が色彩を伴うことがあります。脳が勝手に変換するらしく、数字の2はいつもバナナ色、3は必ずストロベリーピンクに見えるのです。(なぜ、食べもの…?)
色彩の共感覚を持つ人どうしのあいだで、具体的なあるものを何色に変換するかについては全く共通点がなく、3が黒に見える人も、青に見える人もいるのが面白いところ。
某幼児音楽教室では、最初から音と色の固定された対応を子どもたちに教えていて、それについては批判があるという話をマスターからうかがいましたが、同感です。私にはドの音が茶色と空色のマーブル状に混じった色に見えますから、先生から
「ドの音は緑色だと覚えましょう」
と教えられたら、混乱してしまうに違いありません。
興奮したのは、「時・・」のマスター岩崎さんがコーヒーの味や香りを立体的なかたちとしてとらえていたこと。思いつきを書き留めるというノートには、たとえばマンデリンのロースとしての味と香り、その翌日の味と香りなどが、図形で記録されていました! 岩崎さんの場合はかたちの共感覚が強いようです。
「時・・」で働くスタッフは、岩崎さん以下、プロの音楽家として活躍している人々なので、このかたちをさらに進めて、コーヒーの味と香りを音楽形式で組み立てられるかもしれません。たとえばソナタ形式で表現するコーヒーとか。
【ソナタ形式のコーヒー表現】
序奏:鼻を近づけたときの香り
提示部:ひとくち目の味(第一主題=苦み、第二主題=酸味)
展開部:コーヒーの温度が下がってきたときに姿を現す風味
再現部:飲み続けて、コーヒーの全体像が見えてきたときの印象
コーダ:飲み終えたあとに舌に残る余韻
一杯のコーヒーは、一曲のソナタ。たとえば「ヤナーチェクのピアノソナタのように不吉な予感に満ちたコーヒー」と表現することもできるかもしれません。
(ここでヤナーチェクが出てくるのは、もちろん、村上春樹『1Q84』を読み終えたところだから)
銀六珈琲『時・・』(じてんてん)
東京都中央区銀座6-12-15 COI ビル2階
【TEL】 03-3572-5033
【OPEN】 11:00~20:00頃
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銀座、紙パルプ会館の屋上に立ち、素手で(!)ミツバチの世話をしているのは、紙パルプ会館取締役の田中淳夫さん。
