2016年12月 7日 (水)

浅煎りコーヒーと浅煎りチョコレートの新提案:GLITCH×Minimal for CafeSnap

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All Aboutのカフェアプリ「CafeSnapのオリジナル商品第4弾は、国内外の注目を集めるGLITCH COFFEE & ROASTERS と、ビーントゥバーチョコレート専門店Minimal の強力なコラボレーション。従来のコーヒー×チョコレートのペアリングとはひと味違う革新的な組み合わせを提案しています。

ペアリングの基本セオリーのひとつ、「同系統のフレーバーの組み合わせ」からあえて逸脱し、ベリー系のコーヒーにシトラス系のチョコレートを合わせ、より複雑で豊かなアフターテイストを楽しませてくれます。

恵比寿のオールアバウト本社で行われた試食試飲会には、GLITCHの鈴木清和さんとMinimalの田淵康佑さんが登壇。それぞれの商品を解説してくれました。

GLICTHの鈴木さんいわく、「一般的なチョコレートを食べると舌がオイルやクリームでコーティングされるような感触があり、コーヒーの風味が消えてしまう」
(それそれ!と同意する人、多いのではないでしょうか。私も感じていました)

「Minimalのチョコレートは舌に残らないため、コーヒーを味わいながら双方のフレーバーが混じって生まれる新しいフレーバーを楽しむことができる」

これはMinimalが産地ごとに異なるカカオの香りをどれだけ鮮やかに表現できるかに注力し、カカオと砂糖というシンプルな素材のみでチョコレートを作っているため。だから「ミニマル」なんですね。

そのかわり、なめらかな舌触りはざくざくしたワイルドな食感に取って代わられています。

高品質の浅煎りコーヒーと、高品質の浅煎りチョコレート。
味の強度もペアリングするという視点。
刺激的な面白さでした。
CafeSnapのECストア にて期間限定で購入できます。

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2016年9月17日 (土)

『ほんのひとさじ』vol.3 珈琲時間

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ほんのひとさじ 』は出版社・書肆侃侃房が発行する小冊子。毎号テーマを設定し、40名にも及ぶ文筆業の方々が短歌や詩、エッセイやイラストを寄稿しています。

vol.3のテーマは「珈琲時間」。私もエッセイを書かせていただきました。書肆侃侃房の本を扱う全国の書店にて無料で入手できます。Kindle版は100円。

『ほんのひとさじ』は「本の一匙」とかけているのだと想像しますが、「本の人、些事」とも翻訳できますね。本を書く人が綴る、ささいなこと。語り口や視点にそれぞれの個性が浮かび上がります。歌人・服部真理子さんのエッセイ『虫が死ぬほど』を面白く拝読しました。

 

 『折口信夫』どつしり座る机上まで珈琲よ来よ香りを連れて  岡井 隆

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2016年6月23日 (木)

BEAR POND ESPRESSO、HIGHSNOBIETYに登場

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HIGHSNOBIETY.com に東京・下北沢のBEAR POND ESPRESSOのオーナーバリスタ、田中勝幸さんのインタビュー動画が登場します。プロデューサーのAmbroseさんに、ベアポンドに注目した理由をお尋ねしました。


Q1) HIGHSNOBIETYというメディアのコンセプトは?

グッド・ストーリー、パッションのある仕事についてのストーリーを紹介している。

我々はファッションの分野からスタートして、パッションがライフスタイルやキャリアに結びついていることに気がついた。興味をひかれる人々と彼らの素晴らしいストーリーについて調べると、彼らに尊敬の念を覚えずにはいられない。

読者の方々もそれを理解し、何らかの新しい発見をして楽しんでいただけるものと信じている。



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Q2) 今回、BEAR POND ESPRESSOを選んだ理由は?

私はカナダで生まれ育ち、Tim Hortons(カナダのドーナツ・チェーン店)やダイナーの安価なコーヒーを飲んでいたが(たいていは二日酔い解消に!)、やがてセカンドウェーブ、サードウェーブのコーヒーを知るようになった。

仕事を通して知り合ったカナダ出身の才能ある映像作家、Wyatt Cloughと会話を交わすたびに、お互いに日本好き、コーヒー好きだと認識するようになり、彼がベアポンドについて語れば語るほど好奇心が募った。私は東京を2度訪れていたが、まだベアポンドに行ったことがなかったのだ。

3度めの来日で、ついにベアポンドの「ダーティー」を飲むことができた。Katsu(※田中勝幸さん)は面白い男で、私は彼のたたずまいに「いったいどんな人間なんだろう?」と、さらに興味をかきたてられた。ヴィデオ・インタビューは彼のストーリーを知り、シェアするのに最高の手段だと思ったのだ。


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Q3) このショートフィルムを通して視聴者に伝えたいメッセージは?

いま、コーヒーは身の回りの至るところにある。ラテ、アメリカーノ、フラットホワイト……ポイントは、その材料や器具や基本的な技術がほとんど変わらないにもかかわらず、店のオーナーによって違いがあるということ。

お客は単にコーヒーを味わうのではなく、バリスタのパーソナリティも味わっているのだ。


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Q4) 東京のコーヒーシーンについて、どんな印象を抱いていますか?

私は日本のコーヒー雑誌を何冊か持っていて、来日前に読んでいた。それらは大変にディテール志向で、モノたちが際立っているが、私はお店の立地であれ、インテリアデザインやレシピ、メニューであれ、それらの背後にある思想にこそ真価を認める。


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田中勝幸さんのコメント:

「パッションとは、僕にとってはレールの敷かれていない荒野を走ることだ。美人コンテストみたいに、決められたルールのもとで美を比較するようなことじゃない。

『コーヒーに恋をする』という表現があるが、恋とは相手に夢中になって自分を見失うこと。 愛は自然体で自分を活かすことができること。僕は恋してるんじゃなくて、『エスプレッソを愛している』。エスプレッソといると、自分らしく生きることができるから。Love & Passion.」

ライフスタイルに基づくパッションと、エスプレッソへの愛。それは田中さんが決してぶれることなく貫いてきたものです。それでは、動画をお楽しみに!


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2016年5月24日 (火)

かつて有楽町にあった喫茶店「ももや」の小さな復活

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「ももや」は有楽町の小さなビルの2階に1949年に創業し、2007年5月まで58年間にわたって営業を続けた喫茶店。そのももやが形を変えて、Web上で復活します。

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東京カフェマニア上でも2000年当時のももやについて書いておりました。

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2001年発売の書籍『東京カフェマニア』には、BBS(懐かしい響きです)上でやりとりされたももやについての会話を収録。

また、書籍『コーヒータイムブック』では、映画『珈琲時光』に登場する喫茶店としてももやをご紹介しています。


 

このたび、創業者の孫にあたる加藤紘輝さんからメールをいただき、ももやがWeb上でコーヒー関連ギフト専門の通販サイト『MOMOYA 』として営業再開することを知りました。

以下はそのプレスリリースの一部です。

 * * *

「ももや珈琲 銀座店」は、昭和24年(1949年)に創業した個人経営の喫茶店です。
創業者である私の祖父は、戦後の動乱の中で菓子の詰め売りを行い、そこで集めたわずかな資金を元手に「ももや珈琲店」を開業しました。

個人経営のいわゆる「昔ながらの小さな喫茶店」でしたが、有楽町周辺で働かれている方々に愛されながら、銀座裏の隠れ家として営業していました。その頃は、大手チェーン店ではない地域に根差したユニークな喫茶店が、日本各地に存在していた時代です。

しかしながら、日本の経済成長・インターネット普及といった時代の流れに伴い、多くの個人経営の喫茶店が廃業を余儀なくされました。
50年以上営業を続けていた「ももや珈琲店」も、その例外ではありません。

銀座・有楽町周辺の再開発に伴い、2007年5月に有楽町マリオン裏での営業を終了致しました。
閉店より 10 年の月日が流れた今、祖父の強い思いが詰まった「ももや珈琲店」を復活させたいと考え、現在活動しております」

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この機会に加藤さんとメールでやりとりさせていただき、ももやについて知りたいと思っていた事柄をいくつか、2代目をつとめたお父さまに確認していただきました。

 

まずは店名の「ももや」の由来のこと。

「祖父が喫茶店を始める際に、神田の易で占ってもらって名付けました。
いくつかある候補の中から、祖父がももやを選んだそうです。
『百々屋』と書いてももやと読み、百代まで長く続くように、という意味が込められています」


次に、創業時から閉店の数年前まで、50年以上にわたりマスターとしてカウンターに立っていた松山さんについて。

「松山タロウ(通称タロウさん)という男性は、ももや珈琲の現場責任者としてマスターをしておりました。戦後間もない、ももや創業当時から祖父と一緒に働いていたそうです。

詳細はわからないのですが、祖父は何らかのツテでタロウさんをスカウトしてきて、ももや珈琲店を始めたようです。

タロウさんは以前からコーヒーに関わる仕事をされており、生豆の仕入れから焙煎まで全て行っていました。『ももや珈琲オリジナルブレンド』の生みの親です。

2004年前後に体調を崩したために引退され、今から10年ほど前に他界されました。祖父の他界とほぼ同年とのことです」

 
そして、加藤さんご自身が記憶するももやの風景。

中学生の時に閉店したため、あまり鮮明な記憶はないそうですが――

「小学校の頃に、亡くなった母に連れられて何度かももやに行っておりました。
時代に取り残されたかのような喫茶店で、子供ながらにレトロで味のある店だな、と思っておりました。

当時はコーヒーが飲めなかったので、父に作ってもらったメロンソーダフロートをランドセルを背負ったままカウンターで飲んでいた事を記憶しています。

『東京カフェマニア』にご掲載いただいている通り、カウンター横の暖簾をくぐった所に、屋根 裏部屋へとつながる梯子階段がありました。

屋根裏は、仕切りもなく広々とした事務所兼休憩室となっていました。
お店が混んでいる時は、屋根裏へと上がって学校の宿題をしたり、2才下の弟と遊んでうるさくして父に怒られた事もありました。

1階の入り口も目立たず、2階に上がる階段もかなり急でしたので、当時の私と弟にとっては文字通り、秘密基地のような場所でした」

 * * *

このページを読んでくださった方々の中に、ももやの記憶をお持ちの方はどれくらいいらっしゃるのでしょう。

時のはざまに消滅した小さな喫茶店の実物は二度と蘇ってはこないけれど、その記憶のかけらを保持する人どうしが言葉を交わし合い、往時の光景をありありと思い描くことで、交差する想念の線上に亡き喫茶店の姿が浮かび上がってくるように思われるのです。

Web上に復活する新しいMOMOYAは、これからどんな記憶をプレゼントしてくれるでしょうか。

   

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2016年4月 2日 (土)

『本好きさんのための 東京 コーヒーのお店』好評発売中

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~ 本と出合う。本と出かける ~
ダ・ヴィンチ編集部から『本好きさんのための 東京 コーヒーのお店』が発売になりました。本好きによる、本好きのための、カフェ&喫茶店ガイドです。

(表紙の写真はCafe Obscuraで撮影させていただきました)

●川口葉子が選ぶ本好きさんのためのコーヒーのお店
●神保町・古書店主が選ぶ本のまちの喫茶店
●神楽坂・本作りのプロが選ぶ本のまちの喫茶店
●谷根千・個性は書店主が選ぶ本のまちの喫茶店
●中央線・らしい店が集まる本のまちの喫茶店

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そして、大坊珈琲店マスターと作家の片岡義男さんの対談!
お二方がそれぞれに創りあげてきた世界に敬意を抱く者の一人として、興味の尽きない対談でした。

●コーヒー本格対談:大坊勝次×片岡義男

余談ですが、六本木のブックカフェのイベントで、片岡義男さんが抽出したコーヒーを飲んだ日の記録はこちら

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●読んで味わう、コーヒーブックガイド

「あなたは女がたった一人でコーヒーを呑む時の味を知っていて?」
「…………」
「(中略)それはね、自分を助けてくれる人はもう誰もいない、何とか一人で生きて行かなければ、という味なのよ」

これは三島由紀夫の『夜会服』からの引用です。半世紀前、東京の女性が飲むコーヒーはそんな決意の味だったんですね。

ここで紹介されている小路幸也『コーヒーブルース』から小沼丹『珈琲挽き』まで、物語の中に一杯のコーヒーが登場する場面は、いつもポストイットのように背面に接着剤がついていて、私の記憶にゆるく貼りつきます。

本好きさんのための東京コーヒーのお店
出版社:KADOKAWA/メディアファクトリー
(1,080円)

全国の書店やAmazonなどで発売中。Kindle版も出ています。

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2016年3月 3日 (木)

ザ・カフェ by アマンの新カジュアルフレンチ

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「原稿の締切直前の数日間は、自分を追い込むためにホテルにこもるんです」
という作家の方にお会いしたことがある。

清潔に整えられた部屋で、雑事でいっぱいの日常から隔絶されて
目の前の原稿用紙だけに没入するのだと。
(そのかたはPCを使わず、原稿用紙に手書きで文章を書いておられた)

アマンリゾーツ初の都市型ホテルとして誕生したアマン東京は
締切直前の作家にも最高の場所なのではないかと思う。

豊かな緑に包まれた建物の1階には、2015年6月にアマンの世界初となるカフェ
ザ・カフェ by アマン」がオープンして好評を博している。


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そのカフェが2016年3月1日からメニューを刷新した。
伝統的なビストロ料理を含むアラカルト料理が増えて、
洗練されたくつろぎの空間でカジュアルなフレンチを楽しめる場所へと進化した。

新登場のディナーコースは、前菜、ガレット、メインデュッシュ、デザートの4品を
それぞれ選べるプリフィクススタイル。
(食後のコーヒーや紅茶が付いて4500円)
常に旬の食材が味わえるようメニューは2か月ごとに更新されるとのこと。

3月末までの早春のアラカルトメニューをご報告。


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前菜にいただいたのは「帆立のソテー、マリネ野菜とアスパラガスのクリーム」。


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次に「フォアグラソテー クロッカンとブリオッシュを一緒に」。
こちらは小さなふっくらしたフレンチトーストの上に
フォアグラがのっている、とイメージしていただければわかりやすい。
クロッカンのカリカリした食感と香ばしさもいい。


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「豚バラのオーブン焼き ディアボラソース マッシュポテトを添えて」。
柔らかで旨みのある豚肉に、
ジゴンダス(コート・デュ・ローヌの赤ワイン)がよく合う。


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デザートは「ストロベリークレープ ピスタチオのクリームを一緒に」。
食後にはエスプレッソのダブルをお願いした。

もう少し暖かくなると、キャンドルの揺れるテラスで緑に包まれて、
というアマンならではのディナーも楽しめるようになる。

こういうテラスで親しい人と飲んだり食べたりしていると、
東京の春の夜の空気が、時として嘘のように甘くなることを知っている人も
きっとたくさんいると思う。


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2015年12月25日 (金)

澤田洋史さんの sawada coffee、米国シカゴにオープン!

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日本のラテアートの先駆者、世界的に活躍する澤田洋史さん。ストリーマーコーヒーを退任して日本を離れ、アメリカ・シカゴにコーヒーショップ「sawada coffee」をオープン!


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澤田さんはアジア人として初めて米国誌『バリスタマガジン』の表紙を飾った実績もあって、米国でも知名度が高い。
sawada coffeeのオープンは地元新聞やコーヒー関係SNSで話題になったため、初日から400人ものお客さまが押し寄せ、澤田さんも「何年かぶりで、休憩なしにコーヒーを淹れ続けました」とのこと。


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店内のテーブルはヴィンテージの卓球台で、ピンボールマシーンも設置。

カフェラテなどの定番エスプレッソドリンクをはじめ、抹茶とエスプレッソを合わせた迷彩柄の「ミリタリーラテ」や、焼酎と水出しコーヒーを合わせた一杯など、日本的要素を取り入れたオリジナルメニューも揃えているという。


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「寿司職人やラーメン店は米国に進出していますが、コーヒー、バリスタで米国に進出・挑戦している者が誰もいなかったので…」という言葉に、勇気をもって未踏の地に飛び込むのを信条としてきた澤田さんのパイオニア精神が響く。

初めて澤田さんにお会いして記事を書いたのは2009年春のこと。

澤田洋史さんのラテアートと北米カフェ文化

その後、澤田さんの華麗なフリーポア・ラテアートを目の前で見て心を動かされ、エスプレッソの道に進んだと語る方々に何人もお目にかかってきた。


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「ずっと日本にいるつもりはない」と澤田さんから聞いたのは何年前のことだったか。
先駆者は常に次の新しいことに挑戦している。

http://sawadacoffee.com/

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2015年11月 9日 (月)

COFFEE COLLECTION around 神田錦町 2015

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左:「Coffee Collection」を主催する鈴木清和さん(GLITCH)と大槻佑二さん
右:物販で出展した「KISSACO」 岡本由梨さんと、おいしいコーヒーのあるところには必ずお姿があるVivaさん


10月最後の土曜日、神田の街は書物好きの人々とカレー好きの人々、コーヒー好きの人々が集まって活況を呈していました。

第56回神田古本まつり、第6回神田カレーグランプリ、そして、青山で開催されたCOFFEE FESTIVALが大盛況だったCOFFEE COLLECTION。あらためて、神田神保町界隈は吸引力のある街だと再認識します。

今回のCOFFEE COLLECTIONの舞台は、神田錦町のテラススクエア1階エントランス。国内外の人気コーヒーショップ7店が集結しました。地元・神田錦町のGLITCH COFFEE & ROASTERS、Fuglen Tokyo、Mojo Coffee、ポールバセット、Single O japan、SLOW JET COFFEE、そして名古屋のTRUNK COFFEE BAR。

全店のコーヒーの飲み比べができる「7 cups TICKET」は、めったに体験できない素晴らしい機会とあって大人気! 同時に7つの個性を比較して楽しませるなんて、コーヒーカルチャーを広く浸透させようという熱意のもと、各店の協力体制がなければ実現できなかったでしょう。

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7つのカップが置かれたシートには、店名とコーヒーの風味の特性が記されていました。

 

物販のスペースの一角には、世界各地でコーヒー豆の運搬に使われた麻袋をトートバックに再生するKISSACOの作り手、岡本由梨さんの姿がありました。

その作品の数々は、デザインが洗練されているばかりでなく、表面にビニールコーティング、裏面に綿ツイルの圧着を施し、ブランドロゴをあしらった内ポケットを付けるなど、耐久性と実用性を高める工夫が凝らされたクオリティの高いもの。

カメラや本やストールを無造作に放り込んで、散歩に出かけたいなあ。そう思って、写真の一番下に写っているグリーンのポットが描かれたトートを購入しました。

このバッグの材料の麻袋は、Vivaさんがハワイ島コナのグリーンウェル農園から持ち帰ったものだそう。ミ・カフェートで飲んだ2013年のグリーンウェル農園のつきぬけたおいしさに感動した記憶もあって、文句なしに最高のマイトートになりました。

(余談ですが、KISSACOというネーミングは、天心の『茶の本』を訳した拙著『本のお茶~カフェスタイル岡倉天心』のページで出会った喫茶去という禅語にヒントを得た、とうかがって、つながるご縁の不思議さに思いを馳せました)

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先日、少しばかり渋すぎるジャズバーで、2代目店主から聞いたぼやき――「ジャズ喫茶が衰退した一因は、小うるさいジャズマニアばっかり集まるようになって、一般のお客さんに敬遠されたことです。かといって、入門者向けの店だらけになってもつまらない」

多種多様なコーヒーショップが共存共栄しながら、おいしいコーヒーのある日常を支えてくれることを願っています。

ちなみにこの日、神保町の交差点の人波にもまれている最中に偶然出会ったブックカフェはCHEKCCORI

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2015年10月29日 (木)

『わたしがカフェをはじめた日。』ホホホ座

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読み応えのある、カフェ好きにはこたえられない本をお送りいただきました。京都の編集企画グループ「ホホホ座」による『わたしがカフェをはじめた日』。小さなカフェを営む京都の女性店主7人の飾らない声が響いてくるようなインタビュー集です。

登場するお店は、マニアックスター、ひだまり、雨林舎、つばめ、KAFE工船、チタチタ喫茶、喫茶ウズラ。

いずれのお店にもおじゃましたことがあり、そのうち5軒は取材させていただいて自著『京都カフェ散歩』や『京都 カフェと洋館アパートメントの銀色物語』のページに綴ったので、各人のまとっている空気を思い浮かべながら堪能しました。

ふだんからじっくり思考を巡らしていることがわかるひと。優しくてのほほんとしたひと。頭の回転が速くて、しれっと答えるひと。

凪いだ海を沖へと泳いでいると、急にぐんと深くなる場所に出会うことがあるように、カフェ開業とそこにいたるまでの人生についての会話から、決して優等生でも営業用でもない店主自身の顔が立ち現れます。

「でもいまだに接客は好きじゃないけど(笑)」

「OLとか絶対にしたくなかったし、完全な社会腐適合者ですね」

「サービス業をやるんだったら、自分のことはまず捨てろって言われましたね」

よしもとばななの寄稿『あの空気』が素晴らしい! 焙煎家、オオヤミノルさんに聞いた『わたしがカフェをやめた理由。』も興味深いものでした。

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ホホホ座(小学館/1,350円/2015年4月発売)

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2015年9月26日 (土)

coffeedust POKEで海コーヒー、旅コーヒー

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生まれたての「POKE」を持参して、秋の海辺でコーヒーを淹れよう!

ゴールドラッシュ時代のアメリカ西海岸。
丈夫で破れないリーバイスは、砂金(Gold Dust)掘りたちの腰や脚を包みこんだ。

ベアポンドの「ポケ」はコーヒー粉(Coffee Dust)とその香りを包みこむ。
海でも山でも、ただお湯を注ぐだけでおいしいコーヒーが楽しめる。


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「ゴールドラッシュ時代、労働者たちは革製のポケットのような小さな袋とザルを使って、川底の砂金をすくったそうだ」と、下北沢BEAR POND ESPRESSOの田中勝幸さん。

そのポケットに見立てて、砂金ならぬコーヒーを抽出するネルを「coffeedust POKE」(コーヒーダスト・ポケ)と命名。田中さんが考案した新しいコーヒー抽出の道具である。

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その使い方はなんと、コーヒーカップの上に直接セットしてお湯を注ぎ、3分30秒ほど待つだけ。

蓋は必要ない。難しいテクニックも必要としない。味の好みによっては、スプーンでかき混ぜてもいいし、待ち時間を増減してもいい。ルールは特にないのだ。

「エスプレッソは淹れてもらって楽しむもの。コーヒーは自分で淹れて楽しむもの」と田中さん。

時間になったらネルを引き上げる。きちんとボディがあって雑味のない、おいしいコーヒーの出来上がり。こんなに簡単でいいのかと、拍子抜けするくらいに。

POKEを使って水出しコーヒーもできる。お湯のかわりに水を注いで、ひと晩、冷蔵庫に入れておくだけ。

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究極の軽量・コンパクトなネルドリッパー。これ以上、バッグの中でかさばらないドリッパーはないと思う。

後片付けはPOKEを洗うだけ。もしそこが海や山であれば、洗わずにPOKEごとジップロックなどに入れて持ち帰ればいい。

田中さんはリーバイスのようにタフで、何十回となく繰り返し使用しても平気な上等のネル素材を探した。抽出に最適なカーブを描くフォルムにこだわり、丁寧な縫製で仕上げてくれる国内の工場と契約した。ただし、ほんの少しずつしか生産できない。中国の工場も視野に入れたが、求めるクオリティが実現できなかったという。

 

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ケメックスなどにセットして使うという裏技もある。ペーパーフィルターではボディが物足りないと感じているなら、ぜひ試してほしい。

ネルの内側に縫い付けられた熊のタグがとにかくチャーミングなのだけれど、BEAR POND EPRESSOのキャラクターであるこの熊、名前を「Mr. badass」という。

完璧なアウトドア・コーヒーのために、Mr.badassをあしらった特製ポーチも誕生した。コーヒー豆200g、カップ、グラインダー、 coffeedust POKE、キャンプ用バーナーなどがぴったり収納できる。サーフィンを楽しむ田中さんだからこそ生まれたアイディアなのかもしれない。

 

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私が新幹線に乗るのはいつも早朝、スターバックスもDEAN&DELUCAもまだ開かない時刻。コーヒープレスだのエアロプレスだのを持参して、車内で保温マグのお湯を使ってコーヒーをドリップしているのだが、これからはcoffeedust POKEを使う!と心に決めた。

なにしろ私の行きあたりばったりの旅も、幻の川底で砂金をすくっているようなものだから。あなたがザルですくいあげているのは値打ちのない、ただの光る砂ですよ、と教えられても、この儚くてきれいなものこそ私にとっては価値があるんです、とうそぶいているような。

海と山のコーヒー。旅のコーヒー。

【使い方】

一般的なネルフィルターとまったく同じです。
初めて使う時だけ、沸騰したお湯に入れて10分間ほど煮沸し、糊をとりのぞきます。 このとき、お湯にコーヒー粉を加えるとネルとコーヒーがなじみます。

【保管方法】
洗ってコーヒー粉を取り除き、ジップロックなどに入れ空気に触れないようにして、冷蔵庫に保管、あるいは冷水を満たした密閉容器に漬けて、冷蔵庫に保管します。

 

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2015年9月25日 (金)

『最高においしいパンの食べ方』 菅井悟郎 (sens et sens)

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白い聖域、sens et sens(サンス・エ・サンス)

店主の菅井悟郎さんが著書『最高においしいパンの食べ方』(産業編集センター)を出版されました。

菅井さんが作るパンや焼き菓子を食べるのは、それが日常のものであるにもかかわらず、ちょっと特別な体験です。何を意図して作られているかが、味や香りや食感を通してクリアかつ繊細に伝わってくるのです。

それはまるで一皿の上で、言語を介さずに交わされる会話。

本書で紹介されているのは、サンドウィッチ、タルティーヌ、ケーク・サレ、キッシュのレシピ、そして「パンに合うコーヒー」を安定して抽出する方法。読めば、あの味はこんなふうに作られているのだと納得することができます。

とりわけ、ああそうか!と思ったのが「基本哲学8か条」のこのふたつでした。

 5. 作業の意味を理解してから、行動する

 6. 確信をもってつくる

東京カフェの最高のひと皿』の中でsens et sensをご紹介するための取材を通して、私は菅井さんに何度となく「なぜ」と質問しました。菅井さんの答えはいつも明快で、そこにたどりつくまでに熟考と実験が重ねられていることを感じさせました。

すべての作業に明快な理由があり、こうすればこんな結果が生まれるという確信がある。そのゆるぎない姿勢を貫くことが、sens et sensの研ぎ澄まされたおいしさを支えています。

数値と記述は厳密。しかし、最後のページで菅井さんは「レシピはあくまでも目安であり、常に変動すべきものだと考えています」と綴っています。今日の気温、今日の湿度に合わせたおいしいパンの食べ方、コーヒーの淹れ方。

この秋はじめての金木犀が香ったあとで、雨が降りしきった日。さて、この素敵な本を見ながら、どんなふうにパンとコーヒーを作りましょうか。

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2015年5月25日 (月)

電子書籍デビューは『村上さんのところ』完全版で

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出版デジタル機構のキャンペーン「I Love ebook宣言」にご協力させていただきました。

断固たる紙の本熱愛派=デジタルで本なんか読めますか派だった私が、お風呂読書という踏み絵を踏んで、電子書籍もいいですね派に転向してしまい……おすすめの電子書籍など、上記サイトでご紹介しています。

まだ転向していない方々の中に、ハルキスト改め村上主義者の方がいらしたら、この夏はついに電子書籍デビューのタイミングが訪れそうですよ。

2015年春、村上春樹が新潮社の特設Webサイトで、またまた読者からの膨大な質問メールに答えた『村上さんのところ』。
夏に書籍化される予定ですが、なんと単行本にして8冊分もの量になってしまったため、紙の本には名問答のみを掲載。完全版は電子書籍として発売されるそうです。

これまで村上春樹の作品は電子書籍にはなっていませんでしたね。村上主義者にとっては、デビューの好機ではないでしょうか。詳細はこちら

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